外国人を雇用した際に社会保険の加入手続き

作成日:2019年11月29日 更新日:2020年1月29日

会社で労働者を雇用した場合には、労働条件に合わせて社会保険加入の手続きが必要ですが、では、外国人労働者を雇用する場合には、社会保険はどのように扱うことになるのでしょうか?

 

昨今の積極的活用の流れを受けて、知識や技術を持ち合わせた外国人労働者が採用市場のどんどん入ってきています。厚生労働省の発表では、2018年10月末時点での数は146万463人。一部によると、日本国内の労働者の46人に1人は外国人という計算もあります。採用にあたっての扱いについて整理しておきましょう。

 

外国人も雇用の際には加入の義務がある

 

外国人であったとしても、日本人と同じような条件で社会保険加入が必要になります。まずはこのことをよく押さえておいてください。

 

そもそも社会保険とは何を指すのでしょうか?

 

・労災保険
・雇用保険
・健康保険
・厚生年金

 

日本での社会保険とは、上記の4つを指します。

それぞれの保険ごとに条件や形態などが異なりますので、一つずつ確かめていきましょう。

 

労災保険

外国人の雇用にも加入義務のある労働保険とは、労働者災害補償保険と雇用保険を合わせて一つの保険として扱うものです。

 

一部の例外を除いては、従業員を一人でも雇用するならば、その事業主は労働保険の加入手続きを行って保険料を納めなければなりません。加入は事業主に定められた義務です。よって、国籍を問わず、雇用される立場になるならば必ず加入することになります。給与額や、保険そのものの必要性から、外国人労働者側が加入を拒否することもありますが、事業主や会社側にとっては加入させることが義務となるので、必ず加入させなければなりません。加入の手続きについては、外国人労働者は一般的に日本人の場合とほぼ同様です。

 

ちなみに、労災保険は、就労ビザに関わらず、所持する外国人以外の配偶者などの「家族ビザ」や「学生ビザ」でも適応されることも合わせて知っておきましょう。

 

[参照] 厚生労働省 労働保険について

 

雇用保険

雇用保険とは、日本の法律に基づく、失業・雇用継続などに関する保険の制度で、労働者が失業した場合に、生活の安定や再就職促進を図るために失業給付などを支給する保険のことを言います。

 

[関連ページ] 外国人の雇用保険の届出と必要書類や適用除外について解説

 

日本国内で合法的に就労する外国人労働者は、個人の意思や在留資格に関係なく、原則として皆、雇用保険の被保険者となります。

 

しかし、外国での失業保障制度の適用を受けていることが立証された人や、海外の会社と雇用関係が成立した後で日本の事業所に派遣されてくる人は、保険加入が例外的に除外されています。

 

そして、以下のような加入の要件があります。

 

・1週間の所定労働時間が20時間以上

・31日以上の雇用見込みがある

 

この加入要件は、日本人にも外国人にも当てはまります。パートタイマーやアルバイトなどは短時間労働者と見なされ、「31時間以上の労働」や「1週間20時間以上の労働」をした場合、加入対象者です。

 

ただし、外国人を雇用する企業が適用事業所に該当しない場合や、下記に該当する場合には適用を除外されます。

 

・船員保険の被保険者
・日々雇い入れられる者または2ヶ月以内の期間を定めて使用される者
・所在地が一定しない事業所に使用される者
・季節的業務(4ヶ月以内)に使用される者、臨時的事業の事業所(6ヶ月以内)に使用される者
・1日の所定労働時間がその事業所の一般社員の概ね3/4未満である者

 

また、覚えておきたいのは、留学生の場合についてです。留学で日本に来ている外国人が「昼間部」学生であれば、本業は学業にあると判断し、この場合は加入しません。反対に、「留学」の区分で日本に在留している場合であっても、「夜間部」の学生で、加入の要件を満たすならば、加入しなければなりません。

 

また、外国人を雇用した会社は、「雇用時」と「退職時」に、当該労働者氏名と在留資格などについて、ハローワークへ届け出ることが義務づけられています。事業主が届け出をする必要がある採用の対象者は、日本国籍を有しない人で、「外交」「公用」といった在留資格を有しない人。
「特別永住者」に対しては、届出は必要ありません。また、届出を怠った場合は、30万円以下の罰金となりますので注意が必要です。
外国人も雇用保険に加入する場合と加入しない場合で、提出する書類が異なりますので、以下で確認しておきましょう。

 

[参照] 厚生労働省 雇用保険制度

 

加入する場合

加入する場合は、「雇用保険被保険者資格取得届」を、適用を受けている事業所を管轄するハローワークに提出します。備考欄に国籍や在留資格などを記入して、届出をしてください。

 

記入必要事項
・氏名
・在留資格
・在留期間
・生年月日
・性別
・国籍・地域
・資格外活動許可の有無
・雇入れに係る事業所の名称および所在地
・賃金その他の雇用状況に関する事項
・住所
・離職に係る事業所の名称および所在地

 

ちなみに、当該労働者が離職する時には、同じように雇用保険の資格喪失届に、氏名、国籍、在留資格、在留期限などの必要情報を記入してハローワークに提出することになります。届出の期限は、次の通りです。

 

・外国人労働者を新たに雇い入れ、雇用保険に加入する場合:翌月10日まで
・その外国人労働者が離職する場合:翌日から起算して10日以内

 

「雇用保険被保険者資格取得届」を提出する際、もう一度必ず在留資格・就労資格をよく確認しておきます。在留資格・就労資格がない外国人の場合、会社側が責任を問われることもあります。「不法就労」と認識のもとに雇用した場合、3年以下の懲役、または300万円以下の罰金が課せられることもありますので、注意しておきましょう。

 

採用を検討中やすでに雇用している外国人が「不法就労」であることを発見した場合には、会社としてただちに対処することも重要です。特に、在留期間の更新については、雇用している期間中ずっとつきまとう問題ですので、定期的にチェックを怠らない仕組みづくりが必要です。採用手続きの段階の場合は「不採用」を理由とともに通知します。すでに雇用している場合は「出勤停止命令」措置をとり、「在留資格」再取得手続きをサポートするなどします。

 

加入しない場合

加入しない場合も、「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」に必要事項を記載し、当該人材が勤務する事業所施設(店舗、工場など)の住所を管轄するハローワークに届出をする必要があります。

 

記入必要事項
・氏名
・在留資格
・在留期間
・生年月日
・性別
・国籍・地域
・資格外活動許可の有無

 

3号様式を利用した場合、届出期限は雇入れの場合も、離職の場合も、ともに翌月末日までです。

 

「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」を作成するためには、在留カードの写しを提出してもらわなければなりません。この時点で、会社側としてきちんと在留カードを確認することで、不法就労を防止しましょう。

 

[参照] 厚生労働省 「外国人雇用状況の届出」は、全ての事業主の義務であり、雇入れの場合はもちろん、離職の際にも必要です!

 

健康保険

健康保険は、病気やケガなどの際に医療機関を受診するにあたって、日々の生活が経済的に不安定にならないよう、日頃から加入者が保険料を支払い、それを財源に必要なときに必要な人が給付を受けられる制度のことを言います。日本では、外国人労働者も含めてすべての国民がこの公的医療保険に入る必要があるとされています。

 

日本では、所定労働日数・所定労働時間数がともに正社員のおおむね4分の3以上であれば、原則としてその会社や事業所の健康保険に加入しなくてはなりません。

 

これは外国人労働者であっても同様の条件が定められています。平成24(2012)年7月9日からは、住民基本台帳制度の対象となりました。3ヶ月以上日本に滞在する場合は、国民健康保険に加入する必要があります。

 

また、外国に住んでいる家族を扶養者として手続きすることもできます。扶養の要件や手続き必要な書類は、各健康保険組合によって異なります。外国人労働者がスムーズに健康保険加入の手続きができるよう、就業時には会社側でサポートするようにしましょう。

 

なお、海外の事業所から派遣された外国人の社員などで、給与の支払いが海外の法人から支払われている場合には、健康保険及び厚生年金保険の被保険者とはなりません。

 

[参照] 全国健康保険協会 健康保険について

 

厚生年金

 

積み立てをしておいて、定年退職後などに定期的・継続的に受け取れるのが、年金制度といいます。日本では、国民年金(基礎年金)というものにが黒人も含めた全員が加入し、企業に勤めている人はそれに加えて厚生年金にも加入していることになります。国民年金にしか加入していない人に比べ、受け取れる年金の額が多くなります。また、支給額は、加入していた期間だけでなく、支払いをしていた期間にどれだけの収入を得ていたかによっても左右される仕組みになっています。

 

日本の年金制度は「日本に在住する20歳以上60歳未満」の人が対象となります。よって、国籍は問われません。よって、日本で働く外国人も年金へ加入する必要があります。

 

加入は外国人も日本人と同じで、企業などに属する場合には、国民年金に加えてその会社の厚生年金にも加入し、支払いを行います。法人企業の採用者は、厚生年金の加入を義務付けされています。個人事業主の場合は、5人以上の雇用者がいれば加入が強制です。労働者が自営業などの場合には、国民年金のみの加入です。

 

 

[参照] 日本年金機構 厚生年金保険

 

日本で外国人を採用した場合には

 

「外国の企業」から一時的に日本に派遣され就労する人については、社会保障の二重加入を防ぐために社会保障協定という制度があります。ただ、これはあくまで外国企業から一時的に派遣される外国人のための制度なので、日本で現地採用される場合については、国籍にかかわらず、社会保険への資格取得の可否は、日本人と同じように契約期間や労働時間で判断します。

 

海外の関連会社から派遣された場合

海外の事業所から派遣された社員などで、「賃金が海外の外国企業から支払われている場合」は、健康保険や厚生年金保険の被保険者とはなりません。この場合は、外国人労働者が日本で労働しているかどうかではなく、給与の支払いがどこから行われているかで判断しましょう。「企業内転勤」などでは、外国企業である出向元から報酬が支払われていても、外国人に在留資格の付与が認められるケースもよくあります。

 

帰国時の厚生年金はどうなる?(脱退一時金)

 

永住者でない限り、在留期間をすぎると、外国人は母国へ帰国する可能性は大いにあります。日本で労働するにあたっては、日本の社会保険制度や年金制度にのっとって加入・支払いを行いますが、こと厚生年金に関しては、受給は基本的に高齢者になってからとなるため、支払うだけで恩恵を受けられないということにもなりかねません。外国人であっても原則として厚生年金の被保険者となり、滞在中の事故や傷病により障害を受けた場合は障害厚生年金、死亡した場合は遺族給付が支給されますが、老齢厚生年金については被保険者期間が短いため受給要件を満たすことができないケースが多いのです。

 

そのため、厚生年金に関しては、「脱退一時金制度」というものが設けられています。いくつかの条件を満たせば、被保険者資格を喪失し、外国人労働者が日本を出国後2年以内に請求されたときには、保険料の一部を受給することができます。

 

脱退一時金の請求が可能になるのは、厚生年金保険に加入していた外国人の厚生年金加入期間が6ヶ月以上の場合です。

 

請求については、出国後2年以内に、社会保険業務センター宛に「脱退一時金裁定請求書」を、パスポートの写し、年金手帳、振込先の銀行名などの必用書類とともに郵送します。必要書類や請求書は社会保険事務所、社会保険事務局の事務所、年金相談センターなどに用意されているので、対象になりそうな外国人労働者には知らせておくと良いでしょう。

 

ただし、既に年金の受給権を持っている場合や、障害手当金を受け取ったことことがある場合、また、将来老齢年金を受け取る資格期間がある場合には、脱退一時金制度を利用することはできませんので気をつけておきます。外国人労働者が離職しても日本に住所がある場合も対象外です。

 

厚生年金脱退一時金の額

外国人労働者も必要な厚生年金脱退一時金の額は、以下の計算式で算出されます。

 

被保険者であった期間の平均標準報酬額×支給率

 

まず、被保険者であった期間の平均標準報酬額は、(1)平成15年4月より前の被保険者期間の標準報酬額に1.3を乗した額と(2)平成15年4月以後の被保険者の標準報酬額と標準賞与額を合算した額の全体を、被保険者期間の月数で除した額をさします。

 

また、支給率は、資格喪失した日の属する月の前月(最終月)の属する年の前年の10月の保険料率に1/2を乗じた保険料率を元に、以下の表の「掛ける数」をかけて算出します。

 

被保険者期間 掛ける数
6月以上12月未満 6
12月以上18月未満 12
18月以上24月未満 18
24月以上30月未満 24
30月以上36月未満 30
36月以上 36

 

まとめ

 

このように、外国人労働者であっても、日本国内で労働する場合には、国籍関係なく日本の社会保障制度にのっとって保険に加入・支払いを行うことになっています。社会保険の仕組みは複雑ですが、日本人と同じと考えればきちんと対応することができるでしょう。ただし外国人労働者の雇用で、何にしても気をつけておきたいのが、「在留資格」「在留期間」についてです。これを守れていなければ、どんなに優秀な人材を確保したとしても水の泡。特に在留期間については、個々の来日のタイミングや状況によって更新すべきタイミングが異なりますので、雇用している間はずっとつきまとう課題です。

 

資格区分が業務内容とマッチしているかなども問題となってきます。こうした細かい要件などについてまだまだ慣れていない場合には、外国人労働者を紹介の専門エージェントに頼るのがおすすめ。在留資格や在留期間、その他社会保険の取り扱いなどについて確かな知識や情報を持ったエージェントの存在は、外国人の採用で初心者の企業にとって、非常に頼りになるでしょう。まずは気軽に、問い合わせ・相談してみましょう。

 


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