外国人を正社員雇用する際の募集から採用後の手続きとフォロー

作成日:2019年11月29日 更新日:2020年1月29日

2019年4月施行の「改正入管法」により、日本国内の外国人労働者は益々増加傾向にあります。厚生労働省の発表では、2018年10月末時点での数は146万463人。一部によると、日本国内の労働者の46人に1人は外国人という計算もあります。増え続けるわけですが、一部の業界を除いて、基本的にはその分野の知識・技能を十分に持った外国人のみが、就労可能な在留資格を取得し、日本で働くことができます。積極的に活用したい企業は、採用に向けてどのように動けば良いのか、募集から採用後フォローまでのフローを解説します。

 

外国人を雇い入れる企業の背景

 

まず、正社員として雇用しようとする企業には、どんな背景があるのでしょうか。ここでは、2つの観点から活用する企業の背景・メリットを解説します。

 

日本国内の人材不足

2019年現在、日本は少子高齢化・人口減少により、労働人口が減少傾向にあります。この流れは今後もますます進むと見られています。このような中、深刻な人材不足が重大な課題となっており、今後は年間50万人もの外国人の労働者を雇用し続けなければ、現在の日本の経済は立ち行かないとも言われています。実際に、既に人材不足によって事業が立ち行かなくなっている会社や業界は多いはずです。

 

少子化により、特に若年層の労働者人口が減っており、その部分を補う必要があります。外国人労働者の平均年齢は、比較的若く、その意味でも日本の人材不足の課題解決とマッチしている部分もあります。

 

[参照] 総務省 統計局 人口減少社会、少子高齢化

 

グローバル化に伴う優秀人材確保

人材不足の一方で、グローバル化する社会に対応するために、会社として優秀な人材を確保しなければならない事情もあります。ここまでインターネットが発達した社会においては、国を超えてビジネスを行うことのハードルはどんどん低くなってきています。と同時に、自社事業をもっと大きくするために、海外進出を検討しなければならないシーンも多くなっているはずです。

 

海外進出をするのなら、その国の言語が流暢に操れる現地に優秀な人材の確保がキーポイントになるでしょう。言語面だけでなく、国が違うからこそ生じる文化面での障壁も低くすることができます。

 

また、これまでは国内だけに優秀な人材を求めていた企業が、海外にも視野を広げて採用活動する、というパターンもあります。これにより、国内だけでなくもっと幅広いエリアで優秀な人材にリーチすることが可能になります。

 

必要となる実際の流れ

 

では、正社員として外国人労働者を採用しようと考えたとき、どのような流れで動けば良いのでしょうか?単に日本人のとは、手順や慣習など大きく異なるために事前に配慮しておく点も多いもの。ここではあらかじめ大まかな流れや見るべきポイントなどを解説します。

 

募集要項の作成

自社で採用したい人材の募集要項を作成します。

 

・出身国

・言語コミュニケーション力
・仕事内容
・期待するキャリア

 

など、日本人と同様細かく想定・検討してみましょう。

 

求人広告の出稿

募集要項が決まったら、実際に求人広告を出します。日本国内であれば、新卒や中途はある程度固定された枠組み・期間で行われますが、外国人を採用する場合には、求める人材によって様々なアプローチ方法があります。

 

人材紹介会社の活用

バイリンガルや外国人を中心として人材紹介を行っているエージェントが存在します。それぞれの人材紹介会社ごとに、強みとする分野(職種・業界・出身国別など)があるので、希望する条件にマッチするエージェントがあれば活用してみましょう。専門のエージェントであれば、ネックとなる在留資格や在留期間、就労制限などについての理解も深く、より効率よくマッチする人材にリーチすることができるでしょう。

 

[関連ページ] 外国人の採用に人材紹介のエージェント会社のサポートは必要か

 

公共機関の活用(ハローワーク等)

公的には、「外国人雇用サービスセンター」という専門のハローワークがあり、そこでは専門に人材紹介を行っています。外国人を雇用したい国内企業と、日本で就職を希望する求職者のマッチングを目的としたジョブ・フェア(就職説明会)なども行っているので、こうした公的サービスを利用してみるのも一つの方法です。

 

留学生や日本で働きたい労働者と、採用したいと考えている企業を支援する施設で、厚生労働省が管轄する専用のハローワークです。専門的・技術的分野、留学生の就職支援、情報提供を行っています。東京・名古屋・大阪の3ヶ所にあり、これに加えて福岡の福岡学生職業センターと共にサポートしています。

 

東京外国人雇用サービスセンター
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-foreigner/home.html
〒163-0721 東京都新宿区西新宿2-7-1 小田急第一生命ビル21階
TEL: 03-5339-8625
FAX: 03-5339-8654

 

・名古屋外国人雇用サービスセンター
https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-foreigner/
〒460-0008 名古屋市中区栄4-1-1 中日ビル12階
TEL:052-264-1901
FAX:052-249-0033

 

・大阪外国人雇用サービスセンター
https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-foreigner/home.html
〒530-0017 大阪市北区角田町8-47 阪急グランドビル16階
TEL: 06-7709-9465
FAX: 06-7709-9468

 

・福岡学生職業センター(福岡新卒応援ハローワーク)
https://jsite.mhlw.go.jp/fukuoka-young/
〒810-0001 福岡市中央区天神1-4-2 エルガーラオフィスビル12階
TEL:092-714-1556
FAX:092-717-6276

 

大学や専門学校から

留学生を多く抱える専門学校・大学・大学院は、人材も豊富です。学校側としても、留学生が日本で就職することに対して強くサポートしているので、就職課にコンタクトして相談してみましょう。うまく行けば、日本での就職を希望している優秀な学生とマッチングできる可能性もあります。たとえそうでなくとも、優秀な留学生を新卒採用できるための情報などを得られるチャンスです。留学生の盛んな大学が近くにないかどうかチェックしてみましょう。

 

社内受け入れ体制の整備

求人を出してから外国人労働者を採用するまでの間に、社内の受け入れ体制も整えておく必要があります。いくら日本での就職を希望していると言えども、国が違えば言語も文化も異なります。

 

外国人労働者に日本のやり方に合わせてもらうことも重要ですが、それと同時に社内の体制を整えておくことも重要な課題。労働条件などの「箱」の部分はもちろんのことですが、むしろそれよりも、同僚とのコミュニケーションはうまく取れそうか、課題ができた時にも解決法を見出せるような柔軟性や受け入れ体制が既存社員に整っているのかなどを確認し、必要であれば社内理解を深めるための教育なども検討しましょう。

 

面接:在留資格の確認

ここで、「在留資格」とは何なのか改めて整理しておきましょう。これは、本国に入国・在留して行うことのできる活動などを類型化したものを言います。これがあることで、外国人は日本に住んで活動することができます。

 

日本に正式な手続きを経て入国してきた外国人は、「在留カード」というものを持っています。これには「在留資格」が記載されているので、面接時には必ずそれを確認し、資格の種類・有無を確認しましょう。

 

[参照] 出入国管理庁 在留資格一覧表

 

実は大きく分けて2種類に大別できます。

 

・就労制限のある
・就労制限のない

 

一般的に就労のために日本にきている外国人は「就労制限のある」在留資格を持っています。この「就労制限のある」には種類があり、下記の表のいずれかを取得することになります。それぞれ取得するための要件(職歴に関連する大学卒業相当の学歴や同職種内での10年以上の職歴など)が細かく決められており、条件を満たさない場合には得ることはできません。

 

在留資格 在留期間 該当例
外交 外交活動の期間 外国政府の大使、公使、総領事、代表団構成員等、その家族
公用 5年、3年、1年、30日、15日 外国政府の大使館・領事館の職員、国際機関等から公の用務で派遣される者等、その家族
教授 5年、3年、1年、3月 大学教授等
芸術 5年、3年、1年、3月 作曲家、画家、著述家等
宗教 5年、3年、1年、3月 外国の宗教団体から派遣される宣教師
報道 5年、3年、1年、3月 外国の報道機関の記者、カメラマン
経営・管理 5年、3年、1年、3月 企業の経営者・管理者
法律・会計業務 5年、3年、1年、3月 弁護士、公認会計士
医療 5年、3年、1年、3月 医師、歯科医師、看護師
研究 5年、3年、1年、3月 政府関係機関や私企業等の研究者
教育 5年、3年、1年、3月 高校・中学校等の語学教師等
技術・人文知識・国際業務 5年、3年、1年、3月 機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師など
企業内転勤 5年、3年、1年、3月 外国の事業所からの事業者
技能 5年、3年、1年、3月 外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機等の操縦者、貴金属等の加工職人
興行 1年、6月、3月 俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手など
介護 5年、3年、1年、3月 介護福祉士の資格を有する介護士など
技能実習 1年 技能実習生
高度専門職

1号:5年
2号:無期限

高度な学術研究、技術分野、経営・管理分野

 

外国人労働者は、それぞれ取得した在留資格の種類に沿って、日本で就労することになります。たとえば、カメラマンとして来た労働者が、レストランで調理の仕事をすることは認められていません。そのため企業側は、採用の段階で、その人の人柄やスキルなどの他に、

 

・在留資格はあるかどうか
・その在留資格の種類は就業内容にあっているか
・在留期間は最新のものに更新されているかどうか

 

を必ず確認しておく必要があります。

 

[関連ページ] 外国人を雇用する際に必要となる就労ビザ・在留資格の確認と申請に必要な費用

 

在留資格の確認後採用→雇用契約の確認

在留資格にも問題なく、企業とうまくマッチすると判断された場合には、採用扱いとし、雇用契約書を結びます。本人と直接、入社後の賃金・時間・待遇など労働条件についてよく話し合い、書面による契約を結びます。

 

初めての企業や中小企業では、ついつい、書面による雇用契約書は後回しにするか、または締結しないというケースがよくあります。ただし、これは外国人労働者を採用する場合には絶対に避けるべきです。

 

日本と海外では法律や労働慣行に大きな違いがありますので、お互いの認識の違いから、後々トラブルが起こることはよくあります。ましてや言語や文化が違うもの同士です。日本人同士以上に「確認・合意」は必要です。

 

特に海外は日本以上に書面による契約書を重視する国が多いため、採用後、予期しないトラブルが起こった時のために必ず用意しておきたいところです。必ず労働者とよく話し合い、双方合意の上で取り交わし、双方のサイン・押印がされた原本を保管しておきましょう。雇用契約書等の交付を行っていなかった場合、責任は企業にあります。日本語の雇用契約書に添付して本人が理解できる母国語や英語などの標準的な言語で翻訳文を作成し、原文・翻訳文の両方を本人に交付するなどの配慮は非常に有効です。

 

在留資格の確認と採用後のフォロー

 

在留資格を確認し、問題がなければ正式採用となります。

 

資格の申請と更新について

 

もしもこれから取得する、期間を更新する、などの場合は、申請に1ヶ月ほど必要な場合もありますので、採用までの期間をとります。

 

資格の取得申請・更新は、管轄の入国管理局で行います。

 

内定者を海外から呼び寄せる場合

資格のない外国人を雇用する場合には、まず雇用主が代理人として、入国管理局へ「在留資格認定証明書」の交付を申請します。交付された証明書を海外にいる内定者へと送付すれば、今度は内定者の手続きです。受け取った証明書を持参して日本の在外公館でビザを申請。その証明書とビザを提示して日本へ入国します。

 

日本にいる内定者を同職種から中途採用する場合

内定者がすでに日本で働いている場合は、資格の種類と期間に注意します。中途採用後の職種が転職前と同じ場合には、特に法的な手続きは不要です。新しい職種と合致しているかは、入国管理局にて1,200円で「就労資格認定証明書交付申請」を行って当日中に確認できます。

 

日本にいる内定者を異職種から中途採用する場合

異職種などからの転職で中途採用する場合には、入国管理局に「在留資格変更許可申請」をします。申請には、2週間~1ヶ月ほどかかります。

 

社会保険の加入

正社員の場合には、社会保険の加入要件に当てはまりますので、加入の手続きをします。管轄のハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出しましょう。

 

居住地決定後の住民登録の指導

海外から採用者を呼び寄せる場合には、居住地決定後の住民登録が必要です。基本的に入国後14日以内に、住所を管轄する市区町村役場で外国人本人が行わねばならないため、住民登録を期間内に行うよう指導しておきましょう。

 

その他採用後のフォロー

この他、外国人労働者がスムーズに日本での生活を始めたり、新しい会社での就労をスタートできたりするよう、次のようなフォローも検討してみましょう。

 

・借り上げ社宅の準備
・日本語教育のためのスクールや教材選び
・来日時のフライトの手配
・その他受入時の教育訓練の準備
・居住地決定後の住民登録の指導

 

まとめ

 

外国人を正社員として雇用する場合の募集方法から採用後のフォローまでを大まかに解説し、気をつけておくべきポイントをまとめました。正社員として雇うとなると、より優秀で自社にマッチするような人材へのリーチが重要になります。その意味では、求人は専門のエージェントに相談するのがおすすめ。特に外国人の採用に慣れていない企業にとっては、非常に頼れる存在になるはずです。


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