ネパール人労働者の特徴と採用

作成日:2019年11月29日 更新日:2020年2月8日

昨今の外国人労働者積極的活用の流れを受けて、ネパール人労働者もよく見かけるようになりました。

 

2018年10月時点の国籍別の割合で上位の国をみてみると、

 

・中国人:389,117人(26.6%)
・ベトナム人:316,840人(21.7%)
・フィリピン人:164,006人(11.2%)
・ブラジル人:127,392人(8.7%)
・ネパール人:81,562人(5.6%)

 

[参照] 厚生労働省 「外国人雇用状況」の届出状況【概要版】(平成 30 年 10 月末現在)

 

このように日本における国別外国人労働者数ではネパール人が第5位にランクインし、全体の5%を占めていることがわかります。最近では、専門的な知識が必要なITエンジニアなどだけでなく、飲食業界やファーストフード店、コンビニエンスストアなどでも見かけることが増えました。この記事では、そんなネパール人労働者の特徴や採用のポイントをまとめてお伝えします。

 

[関連ページ] ネパール人の労働者を採用し雇用する際の注意点とは

 

ネパール人労働者が住む国について

土地・人口について

ネパール人の国「ネパール」は南アジアに位置する、東西に細長い小国。東西南がインドに隣接、北が中国チベット自治区に隣接しており、大国であるインドと中国に挟まれるような形で位置しています。

 

首都はカトマンズ。「エベレスト」と言えば日本人にも馴染みがあるでしょう。標高8,848mの世界最高峰の山であるエベレストがあります。山岳地帯の多い国で、首都カトマンズも標高1,300mに位置しています。北は山脈が連なり、南はインドに向かって平野が広がるような地形で、大変起伏に富んでいます。

 

ネパール人の人口は、2018年時点で約2950万人、世界では人口数100位以下の小国です。人口は増加傾向にあり、2015年から2018年までの3年間で約100万人増えています。日本の中央年齢が45歳を超えているのに対して、ネパール人には中央年齢層は若く、約23歳。若い人が多い国と言えます。

 

文化について

ネパールには、古くよりカースト制度によって成り立っていた国家です。1962年に制度は廃止されていますが、現在もその名残はまだあります。例えば、ネパール人は基本同じ身分同士でないと結婚は許されていない傾向にあり、インドのカースト制度と同様に、食事は右手を使って食べる、左手は不浄の手なので食事では使わない、身分が違う者とは一緒に食事をしない、などの掟の名残は依然として人々の文化の中に存在しています。

 

カースト制度が存在していた頃は、身分によって教育を受けられない子女もおり、ネパール人全体の30%程度しか学校に通っていなかった時代もあるようです。現在は、99%の子ども・若者が学校に通っており、ここ30年ほどでしっかりとした教育を受けられる環境が整ってきています。学歴社会へ変遷して行っており、大学の修士や博士を取得したネパール人は非常に誇りのあることとして評価されています。

 

また、食文化の面では、中国とインドの両方の大国に挟まれていることから、両方の影響を大きく受けています。たとえば、インド系譜のカレーもあれば中華料理の焼きそばのようなものもあります。

 

ただし、ここでも制度の影響は受けており、ネパール人にはそれぞれによりお酒が飲めない、牛肉だけでなく豚肉も食さないベジタリアンなどの掟があるようです。

 

日本にいる労働者の現状

 

中央年齢が低いこともあって、日本にいるネパール人は20代から30代にかけての層が中心です。日本の在留資格では「留学」区分がが最も多いことからも必然的に若い人が多くなります。また、法務省在留外国人の統計では、女性よりも男性の方が多い傾向にあります。

 

ネパール人が留学生として来日するためには、事前に12年間の教育を修了する必要があり、ある程度の日本語力も求められます。来日した人は、まず日本語学校に入学して日本語を修得し、卒業後は短大や大学ではなく専修学校に入る場合が多いです。日本の専門・専修学校などは、中国・韓国などの漢字圏だけでなく、非漢字圏である国々からの学生を勧誘していることもこの流れに大きく関係しているでしょう。

 

ネパール人にとって、そもそも日本は留学資格で滞在することが他国に比べて比較的容易であるため、留学先として人気です。そのため、「留学」「家族滞在」「技能」の在留資格で来日するケースが増加しています。

 

もう少しマクロでみてみると、ネパール人はベトナム人同様、日本政府が2008年に策定した「外国人留学生30万人計画」が人々に受け入れられた結果だと考えられます。アジア新興国ではこの計画をきっかけに日本への留学がブームになりました。

 

また、職業別で見てみると在留資格「留学」で来日する外国人も多いです。ネパールはインドに隣接していて文化圏も似ていることから、インド料理店で働く外国人労働者が多いのです。日本での生活基盤が形成されたら、インド料理店などでコックとして働くネパール人は、配偶者や家族を家族滞在の在留資格で呼び寄せます。コックとして数年勤めた後に独立して自分の店を構える人たちがここ数年でも一気に増えているようです。中には、永住権申請を目指す人も出てきています。このように、日本での労働者の実情においては、今後も、在留資格「家族滞在」と「技能」は連動して増えていくと考えられます。

 

言語について

 

小国であれども多民族国家です。中国とインドに挟まれた地形からみても、中国のチベット系民族とインドのアーリア系民族が入り混じっている上、加えて100を超えるカースト・民族が存在します。よって、一応「ネパール語」は公用語にはなっているものの、母国語として使用しているのは、ネパール人でも人口全体の半分以下です。

 

ネパール人の多くの人が英語を使えます。学校では、全ての授業を英語で行っている学校などもあり、英語教育はかなり盛んです。

 

産業は、主に農業か観光産業です。よって自国で何かものづくりに積極的に取り組む感覚よりも、他国に出稼ぎにいく感覚の方が強いのです。そうすると、必要になるのは国の外に出ても通用するコミュニケーションツール・能力です。その意味で、ネパール人にとって英語は教育において不可欠なのです。

 

またそもそも観光産業は、外国人相手が主となります。サービス提供者としても英語の能力は必要になりますので、ネパール人の多くが英語を高いレベルで話せるのです。この英語力の高さは、日本での就労・雇用にも大きく有利に働いているはずです。

 

宗教について

 

ネパール人の宗教は、インドと同様にヒンドゥー教が大多数を占めています。ただ、多民族国家ということもあり、人々が信仰する宗教も様々あります。以下は、信仰している宗教を人口割合で示したものです。

 

・ヒンドゥー教:約81%
・仏教:約9%
・イスラム教:約4%
・キラント教:約3%
・キリスト教:約1%
・その他

 

ヒンドゥー教なので、「牛肉を食さない」という掟は守られています。牛は神様の乗り物であるため「聖なる動物」として崇められます。よって、牛肉を食すことや牛を殺すことはネパール人では禁止されています。ただ、ネパールでは、水牛(バッファロー)は別物だそうで、食べ物としても扱われます。モモと呼ばれる餃子のような食べ物が、水牛を使った料理として有名です。

 

[参照] DTACネパール観光情報局 国のデータ ネパール基礎知識

 

ネパール人を雇い入れるメリット

 

ネパール人を日本で採用するメリットにはどんなものが考えられるでしょうか。

 

日本で働く意欲の高い人が多い

世界的には最貧国の1つとされており、国内での平均月収が約2万円?3万円くらい。国内で農業に従事している場合は、年間でわずか5万円くらいにしかならないとされています。

 

このようにネパール人にとって、日本の経済レベルの生活は、比べ物にならないくらい水準の高いものです。こうした経済的に高水準の国で働くことができれば、現地にいる家族の生活を経済的に支えることができます。そのため、日本に働きに来るネパール人のモチベーションは非常に高い傾向があります。ここ数年は、コンビニの店員としてアルバイトをしている人に出会うなども増えましたよね。

 

また、日本はネパールへの経済援助額がイギリスに次いで日本が世界第2位です。ネパール人は日本からも経済的に大きな恩恵を受けていることを知っています。日本の車や電化製品などの技術力への憧れがあり、日本の製品や技術力に関心があります。こうした日本の技術や仕事を学びたい、そして自分の国に還元したい、という意欲に溢れた労働者も多いのです。

 

英語力が高い

先ほどもお伝えしましたが、ネパールは英語教育に力を入れており、多くは高いレベルで使うことができます。よって、ネパール人は英語の使用が不可欠な種類のサービス業や観光業界でも良い役割を果たしてくれるでしょう。

 

ただし、日本語の習得に関しては、読解や論述能力の習得に要する時間が漢字圏の出身者よりも長く掛かるとされています。そのため、ネパール人は高いスキルを求められる仕事への就労や日本の高等教育機関への進学は現状で難易度が高くなっています。

 

単純労働者として採用する知っておくべきポイント

 

2019年4月より、「入管法(出入国管理および難民認定法)」が改正され、特に人材不足が厳しい業種に限って、いわゆる「単純労働」でネパール人や外国人を雇用することができるような制度が整いました。

 

これまで、ネパール人が日本で働くには、大学教授やエンジニア、経営者など「高度な技術を持つ専門職」であることが前提でした。しかし昨今の日本の少子高齢化・人口減少などの諸問題を鑑みて、実質的に外国人労働者を単純労働者として受け入れる舵取りをしたのです。

 

改正では以下2つの「在留資格」が新設されました。

 

・特定技能1号
一定の知識・経験を要する業務に就く人材が対象で、日本語試験や簡単な技能試験に合格した外国人に最長5年の在留を認めます。

 

・特定技能2号
特定の産業分野における熟練した技術を要する業務に従事する外国人向けの在留資格。要件を満たせば、配偶者や子の帯同も可能。

 

それぞれの特徴、業種などをまとめました。ネパール人を雇用する際にはチェックしておきましょう。

 

特定技能1号

業種 農業 耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)
畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)
漁業 漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、 水産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵、安全衛生の確保等)養殖業(養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理・収獲(穫)・処理、安全衛生の確保等)
飲食料品製造 飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く)の製造・加工、安全衛生)
外食 外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)
介護 身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助等)のほか、これに付随する支援業務(レクリエーションの実施、機能訓練の補助等)
(注)訪問系サービスは対象外
ビルクリーニング 建築物内部の清掃
素材加工 鋳造 ・鍛造 ・ダイカスト ・機械加工 ・金属プレス加工 ・工場板金 ・めっき ・アルミニウム陽極酸化処 ・仕上げ ・機械検査 ・機械保全・塗装・溶接
産業機械製造 鋳造 ・鍛造 ・ダイカスト ・機械加工 ・仕上げ ・機械検査 ・機械保全 ・電子機器組立て ・塗装 ・鉄工 ・工場板金 ・めっき ・溶接 ・工業包装 ・電気機器組立て ・プリント配線板製造 ・プラスチック成形 ・金属プレス加工
電気・電子情報関連作業 機械加工 ・金属プレス加工 ・工場板金 ・めっき ・仕上げ ・機械保全 ・電子機器組立て ・電気機器組立て ・プリント配線板製造 ・プラスチック成形 ・塗装 ・溶接 ・溶接 ・工業包装
建設 型枠施工・左官 ・コンクリート圧送 ・トンネル推進工 ・土工 ・屋根ふき ・電気通信 ・鉄筋施工 ・鉄筋継手・内装仕上げ/表装
造船・舶用工業 溶接 ・塗装 ・仕上げ ・機械加工 ・電気機器組立て
自動車整備 自動車の日常点検整備、定期点検整備、分解整備
航空 空港グランドハンドリング(地上走行支援業務、手荷物・貨物取扱業務 等)
・航空機整備(機体、装備品等の整備業務等)
宿泊 フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の宿泊サービスの提供
在留期間 1年、6か月又は4か月ごとの更新、通算で上限5年まで
技能水準 試験等で確認(技能実習2号修了者は試験等免除)
日本語能力水準 生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認(技能実習2号修了者は試験等免除)
家族の帯同 基本的に認めない

※受け入れ機関または登録支援機関による支援の対象

 

特定技能2号

業種 建設・造船舶用工業など
在留期間 3年、1年または6カ月ごとの更新
技能水準 試験等で確認
日本語能力水準 試験等での確認は不要
家族の帯同 要件を満たせば可能(配偶者・子)

受け入れ機関または登録支援機関による支援の対象外

 

ネパール人他外国人労働者に期待されている、人手不足が問題となっているのは「5業種」とも呼ばれる、建設、農業、宿泊、介護、造船業です。他にもビルクリーニング、食品・飲料製造、電気機器、車の整備などを含む「14業種」でも、今後積極的に外国人労働者の活用を拡大していく方針です。

 

2019年4月から先持って「特定技能1号」の実施となったのは、介護、宿泊、外食の「3業種」です。特に介護領域においては、特定技能制度の受け入れ上限が大きくなっています。この3分野ではより在留資格の取得が容易になると考えられます。ネパール料理店を営むケースも多いその場合は、より外食分野でのネパール人の来日が増えてくるのではないでしょうか。

 

ネパール人や外国人の留学資格でも資格外活動で原則1週28時間のアルバイトが認められているので、学費や生活費を稼ぎながら滞在することは可能です。中には、自身の必要経費以上に稼いで、自国にいる家族に送金している人もいます。

 

[参照] 国際研修協力機構 在留資格「特定技能」とは

 

外国人の採用における手続き上の注意点

 

ネパール人を採用する時の手続きとして気をつけておくべきポイントをまとめました。

 

在留資格の確認を怠らない

外国人及びネパール人が本国に入国・在留して行うことのできる活動などを類型化したものを言います。この資格があることで、外国人は日本に住んで活動することができます。日本に正式な手続きを経て入国してきた外国人は、「在留カード」というものを持っており、そこには「在留資格」が記載されています。ネパール人の「面接時」には必ずそれを確認し、種類と有無を確認しましょう。

 

この在留資格は、大きく分けて2種類に大別できます。

 

・就労制限のある
・就労制限のない

 

一般的に就労のために日本にきている外国人は「就労制限のある在留資格」を持っています。この「就労制限のある在留資格」にはいくつもの種類があり、ネパール人をはじめとした外国人労働者はそれぞれ下記の表のいずれかを取得することになります。

 

これらにはそれぞれ取得するための要件(職歴に関連する大学卒業相当の学歴や同職種内での10年以上の職歴など)が細かく決められており、ネパール人も条件を満たさない場合には得ることはできません。

 

在留資格 在留期間 該当例
外交 外交活動の期間 外国政府の大使、公使、総領事、代表団構成員等、その家族
公用 5年、3年、1年、30日、15日 外国政府の大使館・領事館の職員、国際機関等から公の用務で派遣される者等、その家族
教授 5年、3年、1年、3月 大学教授等
芸術 5年、3年、1年、3月 作曲家、画家、著述家等
宗教 5年、3年、1年、3月 外国の宗教団体から派遣される宣教師
報道 5年、3年、1年、3月 外国の報道機関の記者、カメラマン
経営・管理 5年、3年、1年、3月 企業の経営者・管理者
法律・会計業務 5年、3年、1年、3月 弁護士、公認会計士
医療 5年、3年、1年、3月 医師、歯科医師、看護師
研究 5年、3年、1年、3月 政府関係機関や私企業等の研究者
教育 5年、3年、1年、3月 高校・中学校等の語学教師等
技術・人文知識・国際業務 5年、3年、1年、3月 機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師など
企業内転勤 5年、3年、1年、3月 外国の事業所からの事業者
技能 5年、3年、1年、3月 外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機等の操縦者、貴金属等の加工職人
興行 1年、6月、3月 俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手など
介護 5年、3年、1年、3月 介護福祉士の資格を有する介護士など
技能実習 1年 技能実習生
高度専門職

1号:5年
2号:無期限

高度な学術研究、技術分野、経営・管理分野

 

ネパール人他、外国人労働者は、それぞれ取得した在留資格の種類に沿って、日本で就労することになります。たとえば、事務職として来た外国人労働者が、電気工事会社の仕事をすることは認められていません。そのため企業側は、ネパール人を採用する段階で、その人の人柄やスキルなどの他に、就労できる職種をチェックしておく必要があります。

 

・在留資格はあるかどうか
・その在留資格の種類は就業内容にあっているか
・在留期間は最新のものに更新されているかどうか

 

を必ず確認しておく必要があります。

 

[関連ページ] 外国人を雇用する際に必要となる就労ビザ・在留資格の確認と申請に必要な費用

 

雇用する際には、ハローワークへの届け出を忘れずに

企業や事業者がネパール人を採用する場合、正社員やパート・アルバイト問わず、管轄のハローワークに届け出をする必要があります。雇用保険に加入するかしないかによって提出する書類と期限は以下のように変わります。

 

雇用保険に加入する場合

提出する書類:雇用保険被保険者資格取得届
期限:雇用の翌月10日まで

 

雇用保険に加入しない場合
提出する書類:「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」
期限:雇用の翌月末日まで

 

なお、ネパール人が外国籍であっても、社会保険の加入要件は日本人と基本的に同じです。

 

[関連ページ] 外国人の雇用保険の届出と必要書類や適用除外について解説

 

まとめ

 

このように、ネパール人は日本での生活に比較的意欲が高く、日本での就労は人気となっています。また、「留学」の区分で若い外国人が来日しているのも特徴です。英語力も堪能なため、今後もさらに日本での活躍を広げていくことでしょう。ネパール人の採用に興味があるのなら、ぜひ一度外国人採用専門のエージェントに相談してみましょう。ネパール人はじめ外国人には、どのような人材がいるのか、どんな働きぶりをしてくれるのか、細かい情報やヒントを得ることができるでしょう。


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