外国人を採用して雇用すると受給できる補助金と助成金

作成日:2019年11月29日 更新日:2020年1月29日

支給される補助金と助成金

昨今、日本における外国人労働者の数は年々増加しています。これまでは特定の高い知識や技術を持った外国人労働者のみが日本で就労することができましたが、2018年の11月2日に「入管法改正案」が閣議決定されたことを受けて、2019年4月より外国人の雇用がしやすい環境が制度的にもさらに整ってきています。企業の採用担当においても、外国人を採用してみようという流れが少しずつ高まりつつあるのではないでしょうか?

 

ところで、外国人を雇用すると補助金や助成金がもらえるというのをご存知でしょうか。雇用に関して最初の費用負担が少しでも抑えられるなら、外国人採用へのハードルもグッと低くなるはず。この記事では、外国人労働者の雇用で得られる補助金・助成金について解説します。

 

外国人を雇う企業が受給の対象

外国人を雇う企業が受給の対象

 

まずは、外国人を採用した企業を対象として支給してもらえる助成金をご紹介します。

 

中小企業緊急雇用安定助成金

「中小企業緊急雇用安定助成金」は、中小企業を対象として、直近の3カ月、もしくは前年の同じ時期に比べて生産量が減少している企業に対して支給される助成金です。

 

休業手当や出向手当として5分の4が支給されるだけでなく、教育訓練を行う経費として1日6000円がもらえます。外国人労働者の雇用に対しても利用することができ、会社を立て直すために外国人労働者の労働力を頼ろうとした際にも申請することができます。なお支給限度日数は、3年間で300日までです。

 

休業および職業訓練の場合
・休業手当または賃金相当額の5分の4
・教育訓練の場合は、1人あたり1日6,000円を加算

 

出向の場合
出向元の事業主が負担した賃金相当額の5分の4

 

出向の場合の助成もありますが、外国人労働者の職業訓練の意味合いでは、休業および職業訓練の場合が当てはまるでしょう。

 

要件
(1)雇用保険に加入している中小企業の事業主であること

 

(2)以下のいずれかの要件を満たしていること
1.直近3ヶ月の生産量または売上高が、直前3ヶ月か前年の同期と比べて5%低下している(直近の損益が赤字である場合は5%未満でもOK)
2.円高の影響によって売上高もしくは生産量の回復が遅れており、直近3ヶ月の生産量または売上高が3年前の同期と比べて15%以上減少している。また、直近決算にて損益が赤字である。

 

(3)以下のいずれにも該当している休業または出向を行う事業主であること
1.事業主が指定した日から1年のあいだに実施されている
2.労使間の協定によるものである
3.実親の事前に管轄の労働局またはハローワークに届け出をしている
4.雇用保険の被保険者である
5.休業手相手の支払いが労働基準法第26条に違反していない
6.教育訓練は通常行われる教育訓練ではない
7.出向は出向労働者の同意を得ている

 

休業および職業訓練の場合の必要書類は、以下の通りです。

 

・休業協定書
・休業等実施計画届
・教育訓練協定書の写し
・雇用調整実施事業所等に関する申請書
・雇用調整助成金支給申請書など

 

[参照] 厚生労働省 中小企業緊急雇用安定助成金について

 

雇用調整助成金

先ほどは中小企業を対象としたものでしたが、こちらは「雇用調整助成金」は大企業を対象としたものです。対象となるのは、生産量5%以上の減少が条件となっています。経済上の理由によって事業活動の縮小などが余儀なくされた事業主に対し、一時的な休業や職業訓練、または出向を実施することで従業員の雇用を維持するために行われる助成です。

 

支給限度日数は、「休業および教育訓練」の場合は、実施した初日から1年間で最大100日分、3年間で最大150日分までとなります。なお、出向の場合は最長1年までです。

 

支給額
休業もしくは教育訓練を実施した場合:賃金相当額の2分の1
教育訓練の経費として1日1200円

 

ポイントとなる要件は、直近3ヶ月の雇用保険被保険者数および、派遣労働者数の月平均値が、前年同期と比較して

・中小企業は10%以上でかつ4人以上増加していない

・大企業は5%以上かつ6人以上増加していない

上記の点です。

 

休業および職業訓練の場合の必要書類は、以下の通りです。

 

・休業協定書
・休業等実施計画届
・雇用調整に関する申請書
・雇用調整助成金支給申請書など

 

[参照] 厚生労働省 雇用調整助成金

 

日本人だけでなく外国人も対象となります

支給される助成金

 

特に外国人労働者の積極的活用を意図したものではないけれども、外国人労働者も対象となる助成金もいくつかあります。

 

人材開発支援助成金

「人材開発支援助成金」は、従業員をスキルアップさせたいときに利用できる助成金のひとつです。非正規労働者(有期契約労働者)を対象に、研修にかかる費用やその間に発生する賃金の一部を受け取ることができます。この助成金には、特定訓練コース、一般訓練コース、教育訓練休暇付与コース、特別育成訓練コースが用意されており、どのコースにおいても研修期間中の賃金の一部や、研修に発生する経費が助成されることになります。

 

支給される金額については、条件によっても異なりますが、例えば、経費助成として研修に要した場合、その費用の45%ほどが支給されます。

 

[参照] 厚生労働省 人材開発支援助成金

 

キャリアアップ助成金

「キャリアアップ助成金」は、「有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成する制度です。キャリアアップ助成金には7つのコースが用意されています。

 

基本的には定住者が対象の助成金のため、たとえば、外国人技能実習生など技能を学ぶために日本で働いている外国人の場合、帰国を前提としているため、対象外です。また、在留資格「家族滞在」、「留学」や「技術実習」なども支給対象外になります。よって、在留資格「定住者」を取得している外国人と、一部の「特定活動」に該当する外国人のみが対象となります。

 

[参照] 厚生労働省 キャリアアップ助成金

 

トライアル雇用奨励金

「トライアル雇用奨励金」は、企業の採用における「試用期間」において事業者が受給できる助成金を言います。就業には適正が大きく関係するため、実際に仕事をしてみないと向き不向きがわからないことも多いものです。ただその試用期間の設定も、労働力や手間、費用対効果の面からすると中小企業にとっては大きな負担となることも多いです。「トライアル雇用奨励金」はこうした企業側の負担を下げ、雇用を促進することを目的に行われています。1人について月4万円が3ヵ月間支給されます(母子家庭の母あるいは父子家庭の父の場合は5万円)。

 

・就労経験のない業種であること
・新卒後3年以内(第2新卒)
・2年以内に離職転職を2回以上

 

基本的にトライアル雇用助成金は、日本人が対象ですが、以上のいずれかの条件に当てはまるならば、外国人労働者にも適用できます。

 

そもそもトライアル雇用とは、スキルが不足しているなどの理由で就職ができない方を対象に、企業側が3ヶ月間、適性や能力がどの程度あるのかを見極めるために雇用するものです。トライアル雇用助成金は、トライアル期間の実際の仕事ぶりを参考に、本雇用に移行することが目的。こうすることで企業と雇用される側のミスマッチを防ぎます。

 

提出書類
・「トライアル雇用求人」の提出
・トライアル雇用実施計画書
・トライアル雇用奨励金の受給申請書

 

企業側は、トライアル雇用開始から2週間以内に、労働者の紹介元であるハローワークに実施計画書を提出しなければなりません。合わせて、雇用契約書や、労働条件などが確認できる書類も持参しましょう。助成金を受給するには、トライアル雇用が終了してから2ヶ月以内にハローワークか労働局に支給申請書を提出します。

 

[参照] 厚生労働省 トライアル雇用奨励金

 

特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金

 

「特定求職者雇用開発助成金」は、身体の不自由などを抱える障害者の方や高齢者など、就職する上で困難な人を企業側で雇用した際に支給される助成金です。ハローワークからの紹介の場合に支給対象となり、条件を満たすならば外国人労働者でも可能です。一人当たりの支給額は、30万円~240万円です。

 

[参照] 厚生労働省 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

 

実際に申請する際の注意点

助成金申請の注意点

 

外国人を雇用するに当たって、上記のような助成金申請の際に注意しておくべきポイントをまとめました。

 

採用しても必ず受給できるわけではないことに注意

外国人を採用すると申請できる助成金は上記のように何種類もあります。ただし、採用したからといって必ず受給できるわけではありません。補助金・助成金には通常細かい条件があり、それを満たした場合のみ支給されるものです。労働局での審査も通過せねばなりません。また、こうした「助成金」「補助金」は税金で賄われていることも念頭に入れて申請しましょう。

 

支給の根拠は明確にする必要がある

これまで紹介してきたような助成金は、外国人の雇用を目的として置かれているものではありません。そのため、雇用調整の計画がどうなっているのかなど、細かい計画書や書類など具体的なものを提示する必要があります。労働局での審査

 

就労が認められている在留資格かどうか

そもそも採用する外国人労働者に、就労に必要な在留資格があるかどうかは雇用する上で大前提となります。

 

・在留資格の有無

・在留資格の種類
・在留期間

 

特に、在留資格の種類については少し知識がないと見過ごしてしまいがちです。まず在留資格には、

 

・就労可能な在留資格(在留資格に定められた範囲内のみ可能)
・就労に制限がない在留資格
・就労ができない在留資格

 

の大きく分けて3つがあります。

 

就労可能な在留資格
(在留資格に定められた範囲内のみ)

外交、公用、教授、芸術、投資・経営、法律・会計業務、宗教、報道、医療、研究、人文知識・国際業務、教育、技術、企業内転筋、特定活動、興行、技能
就労に制限がない在留資格 定住者、永住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者
就労ができない在留資格 留学、就学、研修、文化活動、短期滞在、家族滞在

 

就労できる在留資格は業種ごとにさらに18種類に分けられており、就労可能な在留資格のある外国人労働者はそのいずれかの在留資格を持っていることになります。もし仮に、その在留資格と就業予定の業務内容が異なる場合には、会社側として雇用することはできません。例えば、在留資格「報道」を取得して日本に来た外国人が、レストランのコックとして調理する仕事をすることはできません。なお、それを知って雇用した場合には、「不法就労」として会社側もペナルティを受ける可能性があります。企業側としても不法就労防止に努める必要があります。

 

また、そもそも就労ができない在留資格があることにも注意しておきましょう。留学や短期滞在、家族滞在を目的に日本に来ている場合には、原則として就労はできないことになっています(一部例外もある)。

 

また、在留期間の更新は、雇用期間中ずっとついて回る問題です。在留期間が切れてしまうと、それもまた不法就労となります。更新は本人が行わなければならない問題ですが、雇用側として会社を守る意味でも、外国人労働者の在留期間の管理・フォローは必要になるでしょう。

 

[関連ページ] 外国人を雇用する際に必要となる就労ビザ・在留資格の確認と申請に必要な費用

 

届け出を忘れずに提出する

企業や事業者が外国人を雇用する場合、正社員やパート・アルバイト問わず、管轄のハローワークに届け出をする必要があります。雇用保険に加入するかしないかによって提出する書類と期限は以下のように変わります。

 

雇用保険に加入する場合
提出する書類:雇用保険被保険者資格取得届
期限:雇用の翌月10日まで

 

雇用保険に加入しない場合
提出する書類:「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」
期限:雇用の翌月末日まで

 

[関連ページ] 外国人の雇用保険の届出と必要書類や適用除外について解説

 

不安があったらエージェントに相談してみよう

外国人の採用はエージェントに相談

 

ここまで紹介したような助成金には、非常に細かい条件や取り決めがあり、自社のケースがその助成金支給の対象になるのかどうか、はたまた外国人採用に当たってどのような条件を満たせば助成金支給の対象になるのかなどについては、専門外であったり慣れない場合だとなかなか判断もつかないものです。そんな時には、ぜひ外国人採用専門のエージェントを利用してみましょう。そうしたエージェントでは、外国人人材の紹介の他にも、在留資格についてや助成金についてなど、外国人の雇用に関して総合的に取り組んでいます。


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