外国人を正社員募集し採用している求人の職種と待遇

作成日:2019年11月29日 更新日:2020年1月29日

外国人労働者の積極的活用の流れを受けて、企業側の採用へのハードルもどんどん下がりつつあります。慢性的な人材不足や、海外進出、優秀な人材確保などの理由から、正社員として採用することを具体的に検討し出した企業もあるでしょう。今回は、知っておきたい事柄をまとめました。

 

外国人として可能な職種の特徴とは

 

2017年時点で、日本で働く外国人の数は過去最高の127万人を超え、記録を更新し続けています。厚生労働省が公開している届け出状況によると、それぞれの企業の採用数は、

 

・30名未満の外国人を採用した企業が33.9%
・30~99名以下が18%
・100~500名未満が22.5%
・500名以上が0.5%

 

となっています。

 

[参照] 厚生労働省 外国人雇用状況の届出状況について(報道発表)

 

傾向としては、海外事業が活発な企業、海外拠点を持つ企業がより積極的に採用しているようです。同時に、新卒採用での割合も上昇する傾向がみられます。

 

また、今後は、ITサービス系や介護系の企業で、外国人を雇用する割合がさらに高まっていくと予測されています。企業全体の社員数に対しての「正社員」の割合は平均で1%未満とまだまだ低いのですが、外国人を採用している企業の数は近年増加傾向にあることから、今後もさらにこの傾向は拡大していくと考えられます。特に近年では、製造業や小売・サービス業界が積極的に採用し始めています。

 

実際に採用するときのポイント

 

では、外国人を正社員として採用しようと考えたとき、どんな点がポイントになってくるのでしょうか。

 

[関連ページ] 外国人を正社員として雇用する際の募集から採用後のフォローを解説

 

ビザ・在留資格の取得の可否

まず大前提として、在留資格がなければ日本で働くことはできません。大雑把に言えば、その分野・業界での実務経験や学歴がなければ、就業のできる在留資格を取ることはできません。

 

たとえば、大学教授、外国語指導教員、投資・経営、法律・会計業務、医療、研究など、専門的・技術的な知識を有する人がその分野の在留資格を取得することはそんなに難しくありません。また、演劇、公演といった芸能活動や、スポーツなどの興行、産業分野における熟練技能労働者といった特別なスキルを有する人も在留資格は許可されやすいです。

 

そもそも、一般的に就労のために日本にきている外国人は「就労制限のある在留資格」を持っています。この「就労制限のある在留資格」には種類があり、下記の表のいずれかを取得することになります。この資格にはそれぞれ取得するための要件(職歴に関連する大学卒業相当の学歴や同職種内での10年以上の職歴など)が細かく決められており、条件を満たさない場合には得ることはできません。

 

在留資格 行うことができる活動(仕事) 在留期間
医療(医療従事者) 医師・歯科衛生士・看護師・薬剤師・理学療法士などの資格を有する者が医療業務に従事する活動 5年・3年・1年・3ヶ月
介護(介護福祉士) 介護福祉士の資格を持つ外国人が、介護福祉施設との契約に基づき介護業務に従事する活動 5年・3年・1年・3ヶ月
技能(医療従事者) 日本の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野にて熟練した技能を要する業務に従事する活動 5年・3年・1年・3ヶ月
企業内転勤(国際間における人事異動) 日本に本店、支店、その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が日本にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行う技術・人文知識・国際業務の活動 5年・4年3ヶ月・4年・3年3ヶ月・3年・2年3ヶ月・2年・1年3ヶ月・1年・6か月・3ヶ月
経営・管理(経営者や会社役員) 日本において貿易その他の事業の経営を行い、または当該事業の管理に従事する活動 5年・3年・1年・4ヶ月・3ヶ月
技術・人文知識・国際業務(オフィスワーク全般) 日本の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学、その他の自然科学の分野もしくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術もしくは知識を要する業務または外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務に従事する活動 5年・3年・1年・3ヶ月
特定活動(インターンシップなど) 外国の大学生が、教育課程の一環におけるインターンシップでの活動やワーキングホリデーにおける活動 5年・3年・1 年・6ヶ月・3ヶ月または指定の期間(5年未満)
特定技能1号・2号 人材不足が深刻な分野(介護など)において、一定の技術を有する外国人を受け入れる制度 上限5年(4ヶ月、6ヶ月、または1年ごとの更新)

 

[参照] 出入国在留管理庁 在留資格一覧表

 

専門知識を伴う仕事であること

上記とも関係しますが、日本では、基本的には専門的な知識や技術を持った外国人に在留資格を許可し、就労してもらっています。よって、一部の人材不足が深刻な分野以外では、「単純労働」では認められていません。専門的な知識を伴う仕事に就く前提なのです。

 

そのため、就労許可を取得するためには、申請時に業務の専門性を明確に明示することがポイントです。たとえば、レストランなどの飲食業では、「外国人観光客の来客時の通訳者」といった申請内容では、主な仕事内容はレストランにおける給仕とされ、通訳の重要性が重んじられない可能性が高いです。逆に、日本の専門学校を卒業した直後であれば「海外の現地食材を仕入れるための貿易担当者兼通訳者」という名目であれば専門性が認められやすいです。その外国人のもつ専門的な知識や技術をフルに活用できる仕事が前提条件となります。

 

正社員として雇用する際の注意点

 

それでは、具体的に外国人の正社員雇用を考えたとき、どのような点に注意すべきなのでしょうか。募集時・採用時・採用後のシーンに分けて説明します。

 

募集時の注意点

日本語力はどの程度必要か検討

日本語が流暢に話せてコミュニケーションに齟齬がないに越したことはありませんが、如何せん言語面は採用の一つ目のハードルとなります。アルバイトならばまだしも、正社員採用となると、日本語力のレベルは非常に重要です。

 

覚えておきたいのは、そもそもの日本語力の高さよりも、その仕事に必要なのはどの程度か、を整理しておくことです。たとえば、IT系のエンジニア、デザイナーなど職種によっては、多少日本語がおぼつかなくてもなんとか業務をこなせるでしょうが、マーケティング職や営業職、接客業や、バックオフィス業務の場合には、日本人とコミュニケーションをとった時にも問題がないくらいの高い日本語レベルが求められます。

 

測る目安の一つに「日本語能力検定」があります。ビジネスレベルで話せるのはN1・N2です。N3クラスであれば、少々おぼつかないでしょう。高いレベルが求められる仕事の場合には、このように客観的な基準を採用要件として置いてみても良いでしょう。日本語レベルを細かく確認する、高い日本語レベルの人材が多くいるエージェントを利用するなどするとミスマッチを防げるはずです。

 

[関連ページ] 外国人を採用する際に日本語能力をどのようにチェックすればよいのか

 

社内の受け入れ体制を整えておく

外国人労働者に日本のやり方に合わせてもらうことも重要ですが、それと同時に社内の体制を整えておくことも大切です。言語面で同僚とのコミュニケーションはうまく取れそうか、課題ができた時にも解決法を見出せるような柔軟性や外国人労働者の受け入れ体制が既存社員に整っているのかなどを確認しておきましょう。

 

同時に、採用においては、社風のあり方を再度見直すきっかけでもあります。日本人だけの尺度を捨て、これまでに通用していた社風を考え直さねばなりません。たとえば、社内に存在する「暗黙のルール」もトラブルの元です。特に残業ありきの勤務体制になっている企業もまだまだありますが、そもそも世界を見渡せば、残業の概念がある国の方が稀です。そうした日本ならではの暗黙のルールも、外国人が会社に入った時の疎外感の元となり得ます。スムーズに社内に馴染め、自分も企業の一員だと思えるような環境を作り上げましょう。

 

条件面の精査について

 

外国人の社員は入社時における条件・待遇をシビアに見る傾向があり、同じ職種であっても少しでも良い条件の会社に流れることが当たり前です。高度な人材であればあるほど、高待遇や裁量のある求人であるかどうかが、採用活動の成功を左右すると言っても過言ではありません。

 

どれだけの裁量を与え、どれだけその人のキャリアに対してメリットがあるのかを明示しましょう。またその際には、高待遇で採用する外国人社員と既存社員との兼ね合いも十分考慮しなければなりません。

 

面接時の注意点

面接時には主に次の2点に気を配っておきましょう。

 

・在留資格の確認
・労働条件などの細かな確認

 

在留資格の確認

在留資格の確認は、外国人を採用時の基本中の基本となります。就労できる資格は、特定の業務に就くことを前提として下りています。そのため、あるかどうかだけでなく、その期間や、在留資格の種類が、就業予定の業務内容と合致しているかどうかも極めて重要なポイントとなります。

 

ちなみに、取得時に一定の在留期間の許可が降りていても、転職するとリセットしてしまいます。新規に申請する業務内容によっては、更新ができない場合もありますので、転職の際には、入国管理局に「就労資格証明書」を申請・取得しておくと、特定の業務における「在留資格がある」旨の証明になります。申請の当日中に確認できるので、やっておいて損はないでしょう。

 

また企業側は、不法就労の防止にも努めなければなりません。「知らなかった」では済まされず、そもそも企業側には採用面接の際に資格を確認することが求められています。

 

・外国人登録証明書
・パスポート
・就労資格証明書
・在留カード
・転職の場合、前職の業務内容
・学歴と雇用先での業務との合致

 

採用面接時には、上記を確認しておくと在留資格の細かい確認に参考になります。特に上位4つの項目は、対象となる外国人が不法滞在者でないことを確認するために重要です。

 

[関連ページ] 外国人を雇用する際に必要となる就労ビザ・在留資格の確認と申請に必要な費用

 

労働条件などの細かな確認

言語コミュニケーションが十分でない可能性を考え、外国人労働者を採用する際には特に細かく労働条件は確認をし、双方で合意を得るようにしましょう。このことは、就労中だけでなく退職する際のトラブル回避にも役立ちます。

 

採用決定後の注意点

採用決定後には、手続きなど細かい部分の調整が必要になります。

 

採用後にすべき手続き

採用後にすべき手続きは主に6種類あります。

 

  1. 雇用契約書の締結
  2. 健康保険資格取得手続き
  3. 雇用保険(労災保険)資格取得手続き
  4. 給与関係、住民税に関する手続き
  5. 社員名簿の作成(労働基準法の義務)
  6. ハローワークへの届出

 

注意したいのは、1の雇用契約書の締結と、6.ハローワークへの届出です。

 

雇用契約に関しては、たとえば「技術・人文知識・国際業務」では日本人と同等以上の報酬であること、「特定技能」であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について差別的な扱いをしていないことなどが各在留資格の要件となっている場合があります。この要件に抵触しているとわかると、その会社は従業員として雇用できません。

 

また、ハローワークへの届出も忘れてはならない部分です。企業や事業者が外国人を採用した場合、正社員やパート・アルバイト問わず、管轄のハローワークに届け出る必要があります。正社員として採用する場合には、雇用保険に加入することになるでしょうから、「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。

 

[関連ページ] 外国人を採用して雇用するための必要書類と手続きとは

 

外国人労働者が定着する仕組みづくりをする

外国人の正社員採用に慣れてきた会社が次に直面する課題が、「育成問題」です。そもそも定着率が悪く、しばらくすると合わなくてやめてしまうケースも少なくありません。

 

外国人労働者の定着率に課題を感じているのなら、そもそもの仕事環境を見直す必要があるでしょう。たとえば中小企業では、人手不足のために社員として採用した後、日本人社員と同じレベルの労働を求め続けるケースも多いです。たとえ優秀な人材であったとしても、生まれ育った環境や文化が異なる労働者に、日本人と同じことを望むのは現実的ではありません。経営者や上司として外国人労働者が仕事をしづらく感じている点はないだろうか、高度すぎることを求めてはいないだろうかなどの視点からも、時折確認してみましょう。

 

まとめ

 

外国人を正社員として採用する会社はまだまだ少ないものの、年々増加傾向にあるのは確かなことです。ここまで説明したように、基本的には専門的な知識や技術を持った高度な人材のみが在留資格を取得し、日本で就労することが認められています。自社にマッチする条件の人材に効果的にリーチするのなら、専門のエージェント利用を利用してみましょう。正社員ともなれば、雇用する外国人の人材とは少なからず長い付き合いを想定しているでしょう。より良い採用活動のためにも一度相談してみることをおすすめします。


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